大沢口に戻り、訪れている人にフクロウを見なかったか尋ねると、大沢口には今日は姿を現わしていないが、昨日は見たと話してくれた。又、散策から戻ってくるオバサン3人連れに同じように尋ねると、今日はあっちの方には居なかったと大沢園地の方を指したので、場所だけでも確認しておこうと思い、家に帰る時間だったが、すきっ腹を押さえてそっちに向かった。駐ヒツの碑の入口を100mほど過ぎたところで、右側の林の中からオバちゃんが飛び出してきて、ちょっと興奮しながらあそこにフクロウが居ると手で指して教えてくれた。しゃがむようにして、指された方に目を向けると、木立の向こうにフクロウが地上2メータくらいのところにある木の洞の中に居るのが見えた。森の神様のように見える。フクロウの居るところから正面20mくらいのところが撮影ポジションとなっている。既に、熟年夫婦の組がカメラを据えて陣取っている。その隣に入れさせてもらい写真を撮ることにした。ここに訪れている人たちの話を聞いていると、この付近にもう一箇所、古くからフクロウがいる場所があるらしいが、今日は留守のようだ。こっちの方は最近、住みだしたようだ。
3脚を立ててカメラを据えていると、だんだん人が集まり始めた。腰まで雪に埋まりながらも真っ直ぐこっちに向かってくる人もいる。昨日は向こうの方にフクロウは居たと話す人も居る。つまりは、この人、毎日、フクロウを見に来ている。万歩計も持っている。2月の中頃、ここを通った時、林の中に向かって、無数の人が通った跡があるのを見つけて不思議に思ったことがある。今日その謎が解けた。その時はその足跡の先にフクロウが居るとは全く思いつかなかった。突然、「フクロウが目を開けた」と隣でカメラを覗いていた人が教えてくれた。その時のショットが上の写真である。いつの間にか、空が黒い雪雲に覆われ始めた。雪は降り出したし!写真は20カットほど撮ったし! 昼飯も食わずに一万歩は歩いたし!と思っても退けるのに躊躇いがあった。